MICは1989年(平成元年)に創業して、今年2024年で35年になります。
今回のインタビューでは、大きく分けて2点お伺いしたいです。
1点目は、MICの会社紹介の沿革に記載のある内容について、現社員は、ほとんど内容を知らないので創業以来の35年間を振り返って頂きたいと思います。
2点目は、1点目の話題にも関連しますが、社長がエンジニアとして働き、そして企業する中で理念として掲げている「自社製品にこだわる。従業員の技術の切り売りはしない」について、なぜこういう考えになったかを教えて欲しいと思います。
まずは1点目、創業に至るまでの経緯を教えてください。
通信の速度というのは、当然今の比じゃ無いですよね。
2400bpsとか1200bpsというレベルだったと思います。また富士通機電製せり機との通信は、同期通信(BSC手順)で、その接続ではお互い(業務システムとせり機)共に大変苦労した事をよく覚えています。具体的にどういう苦労がありましたか?
まずは繋いで通信してみる。しかしうまくいかない。何故だ?と、とにかく試し試しやっていました。その頃の経験が、自分自身エンジニアとして相当鍛えられたと思います。JAAでの開発を終えてからはどうされたのですか?
JAAでのシステム終わってから1年くらい別の仕事(会計システムの開発)をしていました。その頃に、当初JAAがあった足立区の大谷田から江戸川区の臨海町に移転する事になりました。昭和58年(1983年)の事です。当時30歳前だと思いますが、相当重要なミッションが任されたという事ですよね?
JAAからどういう評価をされていたかはわかりませんが、日々どこにニーズがあるかを探求して、クライアントが本当に必要なシステムを提供しようと常に心がけてはいました。富士通製のコンピューターを1から理解しなければならないのは大変な事だと思いましたが、私は喜んで引き受けました。その頃会社を設立されたわけですね?
はい。前述のJAAのシステム構築を受注するにあたり、会社を設立する必要がありました。当時は私1人の有限会社でした。当時は多くのオークション会場がポスコンに切り替えていたので、引き合いも多くあったのではないですか?
はい。確かに引き合いがありましたが、TVオークションの開発を打診されていて、そちらに専念をしていました。1990年(平成2年) TVオークションシステム開発とあります。TVオークションシステムってなんでしょうか?
この頃、モデムを使った通信が解禁されました。この通信を利用してオークション会場に応札を届けるという技術です。通信を利用する応札システムは当時オークネット社もサービス提供をしていましたが、これは毎週の出品者情報をレーザーディスクに焼いて、それを配達するという方法でした。その後開発したのが1991年(平成3年)「パソコン通信を利用した中古車販売管理システム」とありますが、これはどういったものだったのでしょうか?
JAAの組合員だったとある中古車販売店からオンラインで出来る業務システムを作りたいという話をもらいました。UNIXのサーバーを入れて、各店舗からパソコン通信(モデム)でエミュレーター使ってサーバーに接続するようなシステムです。店舗にあるパソコンが端末になるというものでした。利用する人も、それなりのリテラシーが無ければ使えないのでは無いのでしょうか?
そんな事はないです。通常の業務を行うような事務員であれば使えるようなシステムにしました。その後1996年(平成8年)インターネットサービスプロバイダ事業を開始したとありますが、これはどういった事業だったのでしょうか?
JU埼玉の出品リストをWEBで検索出来る機能を作りました。インターネットの黎明期だったのでまだそういったサービスはほとんど無かったと思います。ちょうどWindows95が世の中に出てきた頃ですね。一般的にインターネットが使われ始めた頃ですよね?
そうですね。ただ現在では想像も出来ないくらい回線は細かったので、残念ながら使い勝手はそこまで良いものでは無かったと思います。他の会場では同じようなサービスは無かったのでしょうか?
どこかの会場でやっていたかもしれませんが、ちょっと覚えていません。ただそんなにはなかったと思います。インターネットではなくて、会場と直接通信して、検索出来るサービスはあったかもしれません。その後、現在でもサービスが続く走行管理システムの開発がスタートします。当時の話を教えてください。
JAAは独自で自社の出品履歴と付け合わせて走行メーター改ざんのチェックを行っていました。それをJU埼玉がシステムを見学しに来ました。当時のJU埼玉は坂戸と岩槻の2会場にあり、メーター巻き戻しもかなり行われていたそうです。これを防止すべくJU埼玉がJU関東甲信越連絡協議会(関連協)に話をしてどんどん参加会場が増えていきました。走行管理システムはここから現在までもずっと保守開発が続いていますが、この頃新しいサービスが立ち上がります。
1998年(平成10年)衛星系オークションシステム、映像オークションシステムです。
衛星オークションシステムについては、初期開発したTVオークションシステムのデータ通信を衛星通信を使うものと、
電話を使うものと共存したシステムと認識していますが合ってますでしょうか?
もともと開発していたTVオークションシステムの進化版で応札以外のデータ閲覧(中継モード)は衛星通信を用いたダウンロード機能で配信。
タイムラグが許されない応札モードは従来通りの電話を利用した通信で行うというものと認識しています。
映像系オークションシステムについて教えてください。
以前のオークション会場では、バイヤー席の前を車両が通り(引き回し)それを見ながら応札するのが一般的でした。それを現在の形(会場前面のモニターに車両画像を表示する形)になり始めた頃です。これは当時珍しかったのですが、JU埼玉が引き回しを辞めて、映像オークションを始めました。その時の会場内の検索システムの構築を行いました。その後2004年(平成16年)リアルタイムネットオークションシステムの開発を行います。
IT革命を経て、世の中のインフラ環境も飛躍的に向上してきて、満を持して今まで構築してきたオークションシステムの仕組みをインターネットをベースにした技術に作り変えて、USS社のインターネットライブを開発しました。2006年(平成18年)には動画配信型リアルタイムネットオークションシステムの開発とありますが、この開発のきっかけはなんだったのでしょうか?
この頃に行った海外視察で、マンハイムオークションのシステムを見ました。画像もあまり綺麗ではなくこれでオークションが出来ているのかという感想でした。なので帰国してすぐに同等のサービスの開発を行おうと思い着手しました。この頃から、中古車以外の業界に対してもシステムを提案するようになりましたね?
インターネットが普及するようになって、各業界から問い合わせが多くなってきました。では冒頭2点目の話題としていた、「自社製品にこだわる。従業員の技術の切り売りはしない」について、なぜこういう考えになったかを教えて欲しいと思います。
最後にMIC社員及びこれから入ってくる新しい人に一言お願いします。